こんにちは、HONE代表の桜井です。
株式会社HONEは2024年8月末で第2期が終了し、2024年9月から第3期がスタートしました。フリーランス(2021年2月〜8月)から含めると約3年半、地方に根ざしてマーケティングに従事し、ようやく見えてきたことがあったため、私が感じたことをここに残していきたいと思います。
目次
とはいえ、辛い
離島や過疎地域
移住・関係・観光人口創出
アトツギ・第三者承継
2つの新規事業
桜井の過労
フィーの捻出方法
意図的タスク過多
プロポーザルに参加する
大手の商品開発に携わる
メガベンチャー/大手からの採用する
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2期終了のお知らせと最高益
最終着地概算も含めてですが、以下の通りとなりました。
売上:59,979千円
外注費:34,227千円
売上総利益(粗利):25,752千円
営業利益:8,126千円
税引前当期純利益:7,919千円
前期よりも売上・粗利・営業利益ともに伸長することができました。関わってくれたみなさん、本当にありがとうございます。
とはいえ、辛い
会社として伸びてはいるものの、ところどころで痛みを伴った辛さを感じています。それは人的リソース(数と質ともにもっと求めていきたい)や、向き合う難易度的なところ(地方の課題難易度がバチクソに上がってきている)や、実業との兼業によるところ(当たり前だけど民泊準備・クラファン・ローカルプレイヤーズなどの実業をやると色々と辛い)などなどです。
まず地方マーケティングでどんなことが起こっているのか?どんなことと相対しているのか?この辺りをより詳しく書いてみました。
地方マーケティングのいま
いま、私が向き合っている仕事は大手企業とは対極の地方、さらには人口減少や産業衰退に拍車がかかっているエリアです。
場合によってはスーパーやコンビニなどのインフラ設備もなく、観光資源をうまく活用できていないところもあります。公共の交通機関では辿り着けないため、地方マーケター伝家の宝刀である「山道車移動」が大半となっています。
以下にそれぞれの置かれている状況(離島や過疎地域・移住/関係/観光人口創出・アトツギ/第3者承継)をまとめてみました。
離島や過疎地域
HONEと離島はどうやら相性がいいようで、現在はいくつかの離島のお手伝いをさせてもらっています。
長崎県地域おこし協力隊ネットワーク(NCN)が主導し、長崎県の地域おこし協力隊隊員向けに、長崎県五島市にてワークショップ&フィールドワークを担当させていただきました。
地域おこし協力隊として、「地域に根ざすこと」とは。 地域おこし協力隊が行う「地域おこし」とは、協力隊の力だけでも、地域の力だけでも実現しないと思っています。協力隊と地域が一緒に課題を洗い出し、解決案を出し合い、ともに行動するからこそ「地域を起こす」のだと考えます(NCNホームページより一部流用)。地域おこし協力隊が今後より地域に貢献していくために必要な「道徳と経済の両立」を加速させていくためのマーケティング思考の理論と実装について講師として登壇いたしました。
また、かれこれ2年近くのお付き合いとなる大分県佐伯市の離島、深島(ふかしま)は、人口11人の離島です。このままいけば無人島になってしまうかもしれない。深島をなくさないために私たちが外からお手伝いできることを行なっています。
人と自然といきものたちが一緒に暮らすこころとからだにやさしい、ちいさな離島、深島 人口十一人の小さな島「深島(ふかしま)」は大分県の一番南、佐伯市蒲江から船でおよそ三〇分の場所にあります。コンビニはもちろん、病院や商店、自動販売機はないけれど、とても豊かで充実した暮らしをしています。 近年は、約七〇匹の猫が暮らす“猫島”としても知られ、今でこそ、夏の観光シーズンには月に最大三千人の観光客が訪れる島になった。現在も引き続き、マーケティングを軸にした伴走支援中です。
蒲江港からフェリーで30分、島にはできたばかりの一棟貸しの宿もあり、新鮮な魚と深呼吸したくなる景色があります。島暮らしを体験することもできます。1人旅にもおすすめです。
九州の模様は若手カメラマンのこーすけに撮ってもらったドキュメンタリー動画がとてもかっこいいのでぜひみてください。
移住/関係/観光人口創出
前期は移住/関係/観光人口創出の文脈からもお仕事をいただくようになりました。
一般財団法人島前ふるさと魅力化財団様とは地域事業部の皆さまと連携しながら関係人口づくりのお手伝いをしています。
私たちは隠岐諸島・島前(どうぜん)地域で、人を育むこと・人の流れをつくることを通し、この地域の「意志ある未来」をつくりたいと考えています。関わる人々が立場を超えて最善を尽くすこと、変化し続ける生態系を肯定し、そのあり方を絶えず問い直し続けること、それが私たちの「意志ある未来」のつくりかたです。
また、もう1つは私のもう1つの会社である、Astlocal株式会社の民泊運営です。
私たちが民泊を行う目的は、静岡市が慢性的な慢性的な課題として抱える「外国人観光客の増加」と「宿泊・延泊の増加」にあります。
静岡市に泊まってもらう、またはもう1泊泊まってもらうためにはどうすればいいか?を考えた際、仮説を立てながらも、まずは自分たちが宿をやった方が仮説が早く証明できるのでは?というところからノリと勢いで始めました。
アトツギ・第三者承継
日本の地方にはアトツギ(先代から事業を受け継ぐ)が数多くいて、私たちもアトツギのお手伝いをさせていただいています。
静岡県牧之原市に拠点を置くヤマウメさんは創業100年のお茶・さつまいも農家さん。先代からの事業はそのままに、新しい商品開発をお手伝いしました。
創業一〇〇年、静岡県の老舗茶農家・五代目が作る静岡産さつまいもを使用した新商品開発 株式会社ヤマウメ様のオリジナルさつまいもブランド「紅金波(べにきんぱ)」を使用したほしいも製品のブランド戦略策定〜実行支援を行いました。静岡県沿岸の日照時間は2500時間超え!お日さまパワー詰め込んだ糖度五八度超のさつまいも使用した静岡県産の紅金波(べにきんぱ)を使用。 罪悪感なく食べられる「持ち運べるほしいも」を3000人の声を聞いて商品開発しました。
ご支援させていただいたMakuakeも無事達成し、多くの皆さんに応援購入いただきました。
鋳物屋として創業130年以上の歴史のある栗田産業さんは、BtoCブランド、重太郎(じゅうたろう)を立ちあげられました。
鋳物は壊れにくく、使い込むほどに馴染んでくると、永く人々の生活を支えてきました。この確かな強さと手作りのあたたかさをもつ鋳物をもっと多くの人に届けたいという想いから、ブランドサイトの制作やSNS・PRの面でお手伝いをしています。
6月に発売した「ホビーな鋳物」を体現したミニ四駆香炉も多くの方に注目いただきました。
静岡県島田市金谷町にある「石畳茶屋 縁-en-」も地元である株式会社増商のアトツギ予定の森さんの事業です。
コンセプトは「みんなの居場所」。 地元に住んでいる子ども・ 学生からビジネスマン・主婦・お年寄りにとって 毎日立ち寄りたくなるような場所になるように共に考えていきました。
2つの新規事業(自社事業)
こんなに全国を飛び回って仕事漬けの中、昨年からさらに2つも!?事業を立ち上げました。それが、ローカルプレイヤーズとミクソロジーハウスふじや(民泊)です。
ローカルプレイヤーズは非起業家のための実践スクール。起業する/しないにこだわらず、地域で闘う同志とともに切磋琢磨できるコミュニティです。
一方、民泊は静岡市の港町「用宗(もちむね)」にある築90年以上の古民家を再生し、地域住民の方々と協力しながら運営する民泊&シェアスペースです。
どちらも地域を元気にするために必要なピースとなるため、共に育てていく予定です。
HONEの課題
ここまでお読みいただいた方は「なかなかうまくいっていんじゃないか」なんて思ってくださるかもしれません。いや、一定の人は「いや、仕事やりすぎでは・・・」とも思っているかもしれません。
ここからは上記の取り組みを行ったことで出てきた3つの課題についてまとめてみました。
桜井の過労
はい、当然ながら来ました。桜井の過労・心労です。
契約前から地方に出向いて事業に向き合って進めていく、というスタイルは骨があると我ながら思うのですが、サスティナビリティでは到底なく、さらに再現性もありません。今年38歳。まだまだ無理はできますが、無理のできる年齢はあと10年くらいかな、、なんて思っています。
さらに踊る大捜査線の見過ぎで現場主義を貫き続けた結果、1年間の交通費だけで正社員が1人採用できるレベルとなりました。もはやJRのために働いていると言っても過言ではありません。JRからお金がもらいたいレベルです。
またマーケティング戦略についても部分的に別の人に担ってもらうことはできるものの、フロントは桜井が対応することが多く、メンバーが入ってきたところで私の工数はあまり変わらないというのが本音のところです。
フィーの捻出方法
2つ目はフィーの捻出方法です。地方マーケティングにおいて私が感じる事実は「人5倍やってフィーは都心の1/3か1/4」です。これが3年間地方に向き合って私が知った事実です。
じゃあ東京での仕事を中心にしよう、地方は副業レベルにしよう、という考え方に「ならざる得ない」と思っています。
地方のマーケティング支援会社も、実態は東京や大手からの売上が多く、地方での仕事はキャッシュエンジンではないというのも珍しくありません。地方の支援業でビジネスを行うというのはそれだけ難しいのだと思います。
そもそも地方は事業規模が大きくないため、利益からマーケターやクリエイターに捻出できる額は少なくなります(構造上これはしょうがない)。じゃあ自分たちが利益を稼ぎ出せばいいじゃない!と思ってここまできましたが、そもそも予算がないところを自ら働きかけて予算をつくっていく、というのはとても大変です。
意図的タスク過多
現在、私が課している目標は以下のとおりです。
セミナー登壇50回/年
オウンドメディアブログ15記事/月
メディア取材1回/月
セミナーや登壇機会とメディア取材は息をするようにできるようになり、オウンドメディアの記事作成もほぼノータッチで回るようになってきました(メンバーにビッグ感謝です)。
この調子で当たり前の基準を上げていきたいと思います。
今期取り組むこと
さて、では今期(2024年9月〜)どんなことに取り組んでいくのか?ですが、この3つにしました。
行政プロポーザルに参加する
大手の商品開発に携わる
メガベンチャー/大手からの1人採用する
です。
おい、桜井!地方は捨てたのか!というと、そうゆうわけではありません。地方に根ざした仕事はこれからも継続していきます。あくまでも地方に根ざす仕事にプラスアルファ、上の3つをやるということです。
ではなぜこの3つをやるかなのですが、所詮私ごときが地方で作れる年商は5,000万円(粗利2,500万円)くらいだろうということがわかってきたからです。
これ以上やるとクオリティが著しく下がり、パフォーマンスが出ないだろうと。年商5,000万円で慎ましく事業をするのならそれでいいのですが、私のミッションは「地方に骨のあるマーケティングを実装すること」なので、5,000万では全然足りないのです(せめてケタ1つ増やさないといけない)。
定量目標としては以下のことをやっていきます。
【着地目標】
行政のプロポーザル:3件/年(3000万円)
大企業事業開発:5件/年(1000万円)
行政/三セク:観光戦略/関係人口(500万円)
地方案件は現状維持で推移(3000万円)
【自社のタスク】
自社ブログ:15記事/月
CV目標:50/月
自社セミナー開催:6回/年
メディア取材:6回/年
【桜井のタスク】
書籍執筆:来年中に完成
セミナー登壇:30/年
専門学校:80コマ/年
SNS運用:3000万imp/年
細かいタスクはあれど、まずは大きくやるべき3つのことを解説をしていきます。
行政プロポーザルに参加する
木下斉さんのポストに地方創生総合戦略に関するものがあり、読んでみると「1342の自治体のうち1037が計画をコンサルに外注」「発注金額ベースの53.3%が東京都所在のコンサルティング会社等へ」とある。
ここだけ切り取れば東京が悪いというよりも、地方の落札企業がんばれ!で終わるのですが、この話には続きがあります。
「受注した東京の企業(出版社)の満足度は50%近くが『不満』と回答」しています。93件、約5億円も受託したにも関わらず、その半分が不満と言っているのです。
この受注の1%でも500万円。5%なら2,500万円です。ここを取らない手はないし、いいサービスを提供できていないのに受注しているのは地方にとってよくないはず。私たちで担っていきたいと思っています。
大手の商品開発に携わる
なぜ大手か?という問いは、先ほど記載した通り「地方にもっとインパクトのある存在になっていきたい」→「そのためには受注額はもちろん、影響範囲が大きい仕事をする必要がある」→「大手の仕事は(結果的に)中小・零細企業が恩恵に預かることもあるはず」というロジックから来ています。
現在も地方の仕事と並行して大企業の仕事も一部担っているのですが、原理原則は地方で行っていることと大きくは違わないと感じています。得手不得手でいうと、決して得手ではないですが、少しずつ携わっていきたいと思っています。
メガベンチャー/大手からの採用する
以上の取り組みを行うと考えた際に感じたのは、「PMが必要」「行政文書の読み解きが必要」「大きな予算を回す経験をした人が必要」ということがわかり、メガベンチャーや大手の経験者の方に力を借りよう!と感じ、カジュアル面談をスタートしています。
すでにお力になってくださる方も見つけているのですが、引き続きカジュアル面談自体は募集中なので良かったぜひお話しましょう!
最後に
私は地方が好きです。静岡が好きです。
先代の借金で苦しんでいるアトツギ、斜陽産業で苦しんでいる経営者、補助金コンサルや悪徳業者に騙される事業者をみて、なんとかしたいと思ってきました。一方で、ろくに勉強をせずにのうのうと騙されてしまう地方側にも責任はあると感じてきました。
間違いなく、私たちHONEおよび地方マーケターは命を削って仕事をしています。それでも助けられない人たちもいます。救える数は限られています。
だからこそ、局地戦だけでなく、システムや仕組みを変えなければなりません。それは行政・地域全体・地方豪族企業に協力を得ながら変えていくことになると思います。
ここからまた別の戦いがはじまります。
地方をよくし、地方に関わり、また住み続ける人が増えるような未来をつくりたいです。引き続き、力を貸してください!よろしくお願いします。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。ここまで読んだみなさんはHONEのことをよく理解いただけたはずなので、HONEの用法・用量を理解できたと思います。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
【記事を書いた人】
株式会社HONE
代表取締役 桜井貴斗
札幌生まれ、静岡育ち。 大学卒業後、大手求人メディア会社で営業ののち、同社の新規事業の立ち上げに携わる。 2021年独立。 クライアントのマーケティングやブランディングの支援、マーケターのためのコミュニティ運営に従事。
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